積ん読・濫読感想文
片っ端から読んだ本の感想の個人的メモ書きと、思いつきの雑記。本の種類は系統立ってもないし、感想の整合性も気にしない、読んだ順番でもない。
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なぜ古代史は悪党を英雄にすりかえたのか
古代史が専門の歴史作家、関裕二氏の著作。

関氏が通説の古代史に対し、独自の視点から異を唱える説には一貫性があり、かなり説得力もある。特に「藤原一族vs蘇我派(または反藤原派)」の長い長い暗闘こそが「乙巳の変」から壬申の乱そして日本書紀の歴史改ざんにかかる背景であるというのは慧眼である。

整理してみよう。

「藤原一族vs蘇我派(または反藤原派)」で見ると:
中大兄皇子&中臣鎌足、斉明(持統)天皇 vs 蘇我蝦夷・入鹿、孝徳天皇
大友皇子 vs 大海人皇子(天武天皇)
持統天皇、藤原不比等、(光明子)vs 長屋王
恵美押勝(=藤原仲麻呂)、(光明子)vs 聖武天皇、橘諸兄

とにかく随分長い間、この2派(正確にはこれに出雲の一族、大物/大伴一族や物部家などが絡む)の戦いが古代史の争いのベースにあるようだ。そしてそれは天皇家と、蘇我一族および藤原一族がそれぞれ血の混じり合いと闘いを繰り返してきたことと対応する。

この著者の見方がピンとくるのは、「歴史とはしょせん、勝者がつづったもの」という哲学がリアリティを持っているからである。

もう一つ、納得できる説が「祟り」に関することである。以下の文に腹落ちした。

「古代人にとって祟りは現実であり、正義はたいがいの場合、「祟る側」にある。祟られる者は、祟る者に対しやましい心があるから、身の回りで何か不自然なことが起きると、何でもかんでも祟りに思えてくるものなのだ。そうであるならば、「祟る蘇我入鹿」は、「蘇我入鹿の正義」を証明している。蘇我入鹿は、改革派だから反動勢力に殺されたということになる」



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超図解「デザイン思考」でゼロから1をつくり出す
“身につく図解"の第一人者・中野明氏による「デザイン思考」の解説本。

「デザイン思考」とは何か?=イノベーションを生み出すために、卓越したデザイナーの思考法を活用すること。

なぜ必要なのか?どう使えばよいのか? 「デザイン思考」の“本質"と“実践法"をバランスよく配している。使用するグラフや数式は最小限にとどめ、親切な注釈や手描きの柔らかいイラストを満載しているため、非常に分かりやすい。

4つのアクションとは:
① 現状を深く「(行動)観察」して共感する
② 集束思考で「正しい問題」を見つけ出す(定義する)
③ 発散思考で「解決策を大量に」創造する
④ 「失敗を前提」にアウトプットを繰り返す

面白い発想と感じるのは:
 観察すべき顧客はどこに?少数派に答はある
 初心者の立場で対象に接し、「なぜ」を5回繰り返すことで問題の核心に迫る
 現場に足を運び、先入観を疑い、共感する
 発散思考と集束思考を繰り返すことで仮説・洞察を獲得できる
 ストーリーボード法:ストーリーに沿うなどカテゴリー別にアイディアをカードに記して発展させる
 共感マップ:Say(発言)→Think(思考)、Do(行動)→Feel(感情)の4象限に分けて現場で観察した情報を整理し、隠されたニーズ仮説を探る
 視点をずらして(リフレームし)、有効な問いを考えよ(問題を再定義せよ)
 イノベーションは「既存の要素の新しい組み合わせ」から生まれる
 アイディアを発展させるのにオズボーンの9つのチェックリストを活用
 名詞でなく動詞で考えよ(顧客の体験に注目せよ)
 「手軽」「低コスト」「短時間」をキーワードにプロトタイプを作り改善を繰り返す
 プロダクトの強みに着目し、フィードバックを受けてさらに強化する
 アーリーマジョリティ向けに実用最小限の製品を投入したら、継続して顧客経験の向上を図り、(キャズムを飛び越えるべく)マジョリティの心をつかめ



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ザ・ローンチ 世界一効率的に億万長者になる方法
ジェフ・ウォーカーによる著作。ダイレクト出版の書籍。

ダイレクト出版から購入し、時間を掛けて(他のものと並行して)読破。プロダクトローンチについていろいろな段階を分けて解説している。ここで紹介されているやり方がそのまま日本の環境で実践できるかというと制約が大きいが、考え方は応用できるはず。非常に興味深い内容であることは間違いない。

著者のジェフ・ウォーカーは元々は専業主夫。こういう人がいろいろな試行錯誤から大成功を収めるAmerican Dreamはまだ存在するということがよく分かる。



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七色の毒 刑事犬養隼人
人気ミステリー作家、中山七里の短編集。「無駄に男前」の犬養隼人刑事が色にまつわる七つの事件に挑む。

【赤い水】岐阜から新宿に向かっていた高速バスが防護柵に激突し、1名が死亡、重軽傷者8名の大惨事。やがて平謝りに謝罪していた小平運転手と、死亡した多々良の過去の関係が明らかになり…。

【黒いハト】イジメにより自殺した中学生。その親友が非難したこともあり、イジメを見ぬ振りしていた学校といじめっ子たちはマスコミの餌食となっていく。一方、自殺の直前に母親宛に残した留守番電話には最後の一押しをした中学生らしき声が残っていた。そこには驚愕の事実が…。

【白い原稿】行状の悪さでクビになった元ロック歌手の出来の悪い小説に対し、出版社が出来レースの新人賞を取らせてベストセラーを演出。ベストセラー作家とはなったが悪評ばかりで腐って毎晩家で飲んだくれた挙句、近所に買い物に出かけた際にベンチで寝ている被害者を恨んだ常連投稿者の一人がナイフで刺殺、のはずだったが…。

【青い魚】人の好い青年は小さいながらも釣り具店を経営し、彼と付き合うようになった女と、その弟と3人で同居していた。青年のやくざ者の弟はそんな兄に「あの2人は釣り具店と土地を狙っている。乗っ取られる前に権利書を俺に預けろ」としつこく迫る。ある日、ハギ釣りに出掛けた3人は…。

【緑園の主】サッカー部で活躍する優等生でありながらホームレスへの暴行・放火事件を起こした中学生グループのリーダーが毒殺される。ホームレスは元植木職人で、見事な庭を裏手に作っていた。一方、中学生が何度もボールを蹴り込んだせいで、グラウンド端にある家では認知症を患った高齢の女性が丹精込めて育てた菊を折られてしまっていたが、息子のように謝る中学生をその度に許していた…。

【黄色いリボン】女装趣味のある小学4年生。両親の「団地内だけなら」という許しの下で度々、近所には「ミチル」としてその恰好で出かけていた。「性同一性障害」という言葉を教師から教えられた日からしばらくして何度も、ミチルに乗っ取られそうになる夢を見る。それと並行してサングラスとマスクで顔を隠した黒ずくめの男に追いかけられる…。

【紫の供花】冒頭の高速バスで健康な足を奪われた単距離選手の有希。夢破れて故郷に帰るも、形式倒産したバス会社からはまともな補償も下りず、経済的な理由から満足なリハビリも受けることができず、仮にリハビリしても競技復帰は望めず、就職にも苦労している。そんな彼女が、赤の他人のはずの人間が殺された捜査の過程で、その保険金の受取人になっていることが判明する。



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六番目の小夜子
直木賞を獲得した人気作家、恩田陸のデビュー作。

青春ミステリーとホラーをミックスしたような不思議な雰囲気の作品だが、「夜のピクニック」につながる、この作家の原点ともいえる。

地方の町にある県下一の進学校が舞台。そこで十数年間に亘り受け継がれていた『サヨコ伝説』という奇妙なゲーム。3年に1度、見えざる手によって選ばれた「サヨコ」は、周囲に覚られることなく、一人芝居の台本『小夜子』を凌ぐ演目を自ら考えるか、同じ演目を再演するか、もしくは何もしないかの選択―をしなければならない。そして今年は「六番目のサヨコ」が誕生する年だった...。

登場人物も不思議かつ魅力的。謎めいた美人転校生・津村沙世子は、不慮の事故死を遂げた二番目のサヨコと同性同名。沙世子に只ならぬものを感じた秀才の関根秋は、三番目のサヨコだった兄を持ち、入院を余儀なくされた本来の六番目のサヨコから突然その責を任される。差出人不明の演目『六番目の小夜子』の台本を受け取った実行委員長の設楽正浩は、暗闇の中で与えられた番号の短い文章を順番に読み進める、全生徒参加型の演出を実施した後、『サヨコ伝説』の秘密に迫るべく、秋と謎解きに暮れる。そして2人はやがて“邪悪な第三者の介入”に気付く…。

学校という閉じられた空間で同じ世代の若者がひしめき合う。しかも建物と教師はほぼ同じだが、数年で生徒はすっかり入れ替わる。そんな特殊過ぎる環境でこそ成り立つ奇妙な伝統を素材に語られる、ちょっと緊張感のあるミステリアスな青春群像だった。



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