積ん読・濫読感想文
片っ端から読んだ本の感想の個人的メモ書きと、思いつきの雑記。本の種類は系統立ってもないし、感想の整合性も気にしない、読んだ順番でもない。
最新記事



月別アーカイブ



カテゴリ



プロフィール

austinyokohama

Author:austinyokohama
FC2ブログへようこそ!



最新トラックバック



リンク

このブログをリンクに追加する



検索フォーム



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QR



ビジネスモデルの教科書: 経営戦略を見る目と考える力を養う
エミネントパートナーズLLC代表の今枝昌宏氏の著書。

ビジネスモデル」を31パターン選び、100社以上の実例と図解で解説した本。「経営戦略を見抜く目と戦略を策定する力を高める実践的ビジネス書」という触れ込み。各ビジネスモデルの紹介を「ビジネスモデルキャンパス」に基づいて紹介しているので、よく整理されており、分かりやすい。タイトル通り、「教科書」として良い本だと思う。

ビジネスモデル毎に毎度、「概要と例」に続いて、「価値創造過程」「なぜ優位性を維持できるのか?」「有効に機能する条件」「落とし穴」「類似のビジネスモデル」「このビジネスモデルから学ぶ戦略思考」まで解説されており、人に説明したり自分の理解を復習したりするのに役に立つ。著者は知人だが、よくここまで丁寧に考察できたものだと感心する。

書評には批判もあるが、それはそもそも期待するべきでないもの(例えば事例の分析など)を期待しているからなので、「筋違い」と言える。



スポンサーサイト

テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌


少女
人気作家、湊かなえの長編ミステリー。

親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白に自慢のにおいを感じた、仲のよい2人の高校生はなぜか、互いに対抗心を灯しながら互いを思いやりながら、共に死を身近で見てみたいと考える。由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く──死の瞬間に立ち合うために。高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。

一人称が敦子と由紀とでしょっちゅう切り替わるのに、切り替わった章の頭には「*」か「**」が打たれているだけなので、正直少々読みにくい。しかもどちらも女子高生の語りなので、2人の区別がとてもつきにくいし、次第にどうでもよくなってくる。ただ、途中で同じような人物が関わってくるので、「そうか、これは人物相関図を2人の少女の視点で解き明かしていくミステリーなんだ」と気づいてから面白くなった。

「思春期の少女」という生き物の無邪気な残酷性をうまく表している作品だと感じたし、それを恐れる「おっさん」など、周囲の人たちの感覚もよく伝わった。それにしてもこの作品のメッセージは結局「因果応報」だったということを最後に分かって、ちょっと驚いた。この先、この2人の少女にどんな因果応報が待っているのか、ちょっと恐ろしい。




テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


中国対外行動の源泉
慶應義塾大学東アジア研究所 現代中国研究シリーズ。著者は慶應義塾大学総合政策学部教授、現代中国研究センター副センター長. 慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス教員の加茂具樹氏。

中国は、自らが歩む外交路線を「特色ある大国外交」と定義し、大国という意識を対外行動のなかで明確に表すようになってきた。日本はそうした中国の新しい変化に極めて間近な距離で向き合っている。

本書は、大きく変化してきた中国の対外行動について、それを形作っている国際政治的要因と国内政治的要因という構造的レベルに腑分けし、その源泉を見出そうとするものである。

中国の強硬な対外行動を解釈する幾つかの仮説を整理している、第一章の『中国の対外行動「強硬化」の分析』(松田康博氏による)が基調講演的なもので、しかも一番面白い。

1. 反応仮説:中国が見せる強硬な行動とは、相手国の行動に対する反応であるという理論。日本政府などは伝統的にこれを信じ込まされてきたが、中国政府の公式見解に近く、最も嘘っぽい。この傍流の「反応的強硬さ」という仮説では解釈が全く異なり、相手のミス的な挑発行動に乗じて中国の数倍の報復行動を正当化して堂々と現状変更を押し進めるというもの(これはかなり正しそう)。
2. 陽動戦争仮説(スケープゴート理論):国内の問題から国民の注意を反らすため、わざと対外的な緊張を作り上げるという理論。これも一部は正しい感じがするがすべてではない。むしろ反中国的な連中がこれを信奉してくれることを中国政府は喜ぼう。さらに筆者はこれに関連し、独自の「戦略的ライバルの再定義仮説」というユニークな説(中国の政権が必要に応じて特定の国・地域を戦略的な競争相手として定義し直す)を持ち出している。
3. 失地回復主義仮説(拡張主義仮説):中国の主観による歴史的領土のうち失地を取り戻すために中国が突き動かされているという理論。これが最も中国政府の行動原理を表しているというのが実感だ。現に、代表的論者である平松茂雄氏は1980年代後半以降の中国政府の行動を予測的中させている。この仮説に基づけば、中国にとって重要なのは「行動のきっかけ」よりも準備に必要な法制度等の整備と自らの能力向上なので、へたに中国に猶予を与えては、かえって事態は悪化するということだ。
4. 「ばらばらな権威主義体制」仮説(ばらばら仮説):中国の対外行動は、多くの異なる利益集団に細分化され、中国の核心的利益を絶対に守るべきだという強い意見があることで揺れ動きながら決まっているという理論。これはこれで一面の真実だろう。

これに「代理人問題(執行の権限を委任された組織の代理人が、命令の執行において手を抜いたり機会主義的行動をとる)」があるために、余計に問題をややこしくしている(本質を見えにくくしている)ということも事実だろう。

いずれにせよ一つの仮説だけで全ての場合を説明できるほど中国はシンプルな国でも体制でもない。

「失地回復主義」の意思が中央政府の根本的底辺にあり、場合によって中国政府が「スケープゴート」を仕立てようと考えたり、地方政府や軍、もしくは民衆の一部が自らの利益を追求して勝手な動きを行ったりし、国としても日本などを非難するが、それが袋小路に陥ると、「あれは相手国の行動に対し反応しただけで、侵略などの意図はない。悪いのは外国だ」と言い訳するという複合的な状況が最もありそうな話ではないか。



テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌


象と耳鳴り
本屋大賞や直木賞などの受賞小説家、恩田陸の作品。

「六番目の小夜子」に登場した関根秋の父、元判事の関根多佳雄が主人公の謎解きミステリー短編集で、初期ながら作品としての完成度は高い。

全体的に淡々としていて、大きな事件が起きるというよりも(一部の例外が「待合室の冒険」)日常的な風景の中で過去の事件や出来事を引退した判事やその家族の視点で描くパターンが多く、謎そのものや謎解き自体は奥が深い。

関根秋はまったく登場しないが、兄で検事の春(しゅん?)、姉(?)で弁護士の夏が幾つかの作品に登場して謎解きの主役となることもあり、司法一家揃ってミステリー好きという楽しい構成。

【曜変天目の夜】
曜変天目茶碗を美術館へ見に行った際、自殺した友人のことを思い出す。
【新・D坂の殺人事件】
雑誌ライター風の謎の男が、ビルを見上げる老人(関根多佳雄)に何を見ているのか尋ねると「堕天使を」。すると急に男が倒れて亡くなる。
【給水塔】
前作の謎の男・時枝満と多佳雄が時々会う散歩仲間になっていて、満が「人食い給水塔」へ連れて行き、都市伝説的な話をする。
【象と耳鳴り】
喫茶店で老婦人が「象を見ると耳鳴りがする」と語り始める。一番不可思議な作品。
【海にゐるのは人魚ではない】
長男の春と伊東に住む元実業家の家へ行く途中、「海にいるのは人魚じゃない」という子供の会話を耳にする。一家心中の事件と結び付けての二人の推理が面白い。
【ニューメキシコの月】
入院している多佳雄の見舞いに来た東京地検の貝谷毅がニューメキシコの月の写真の絵葉書を見せる。九人の男女を殺して床下に埋めた医師・室伏信夫から届いたと言う。
【誰かに聞いた話】
妻・桃子と夕食時に、誰かに聞いた話だか思い出せないと多佳雄が話す。
【廃園】
従兄弟の結子が亡くなり、娘の結花に招待され、かつて結子が愛した薔薇の庭があった屋敷を訪れる。あの時何があったのかが見えてくる。
【待合室の冒険】
春と出かける途中電車が止まり、待合室で足止めをくう。男が携帯で話しているのを聞いた春の思いがけない行動。この作品が一番スリリング。
【机上の論理】
春と夏が従兄弟で医師の隆一と食事。隆一から一枚の部屋の写真を見せられ、この部屋の人物像を当てられたらおごると言われる。ユーモアを感じる作品。
【往復書簡】
新聞記者になったばかりの姪っ子からの手紙をきっかけに始まるやりとりの中で、多佳雄が気になった放火事件。そして突然の事件解決と意外な犯人。その裏には多佳雄の鮮やかな謎解きがあった。
【魔術師】
地方自治がテーマらしいが(舞台は仙台市と旧泉市)、最もミステリアスな趣きがある。



テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


新しいニッポンの業界地図 みんなが知らない超優良企業
東洋経済新報社のメディア編集委員、田宮寛之氏の著書。

30年近く業界・企業を取材してきたプロの眼から、これから伸びていく企業約250社を挙げている。無名な高収益企業、無名な高シェア企業、無名な高技術企業も多く含まれ、ビジネスチャンスの開拓や投資家の銘柄選びに、もしくは学生の就職活動に役立つとアピールしている。

とはいえ、半分ほどはそれほど無名の企業というほどでもない(大企業が多く、「みんなが知らない」というタイトルは正直、誇張がある)。それでも中堅企業なのに世界的に活躍している企業も少なくないことが感じられ、大企業だけがグローバル展開しているのではないこと、日本には優秀な企業が多いことを実感できるのは嬉しい。




テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌